地域ケアセンター 活動報告

「ターミナル(終末期)のケア~緩和ケア~」

平成21年度第5回鴻池会地域ケアーセンター公開研修会を、9月18日(金)から鴻池荘に於いて、ターミナル(終末期)のケア~緩和ケア~をテーマに奈良県立五條病院 緩和ケア認定看護師 辻本 芳子さんを講師に迎えて開催しました。100名を超える多数の参加がありました。
  まず初めに、緩和ケアの提供はがんと診断された時から行い、苦しみを予防し、苦しみから解放することを目標におこなわれ、末期がん患者は身体的苦痛のみならず、精神的、社会的、霊的苦痛(スピリチュアルペイン)を抱きます。
霊的苦痛とは、自己の存在そのものや生きる意味がおびやかされる時に経験する深い苦悩とのことでした。将来という時間、ご家族や友人といった人々との関係、自分らしさや自分という価値観などが断ち切られてしまうことでの心の喪失感や痛みに、それぞれどう向き合ってケアしていくべきかの話がありました。様々なケアがある中で全身清拭や口腔ケアといった日常に普通に行われているケアもスピリチュアルケアになっていくとのことで、ターミナルケアでは清潔ケアもただ清潔ケアとして捉えるだけでなく、精神的癒しとしてのケアとして計画立案していくことにも大切な意味があると感じました。
 また、ご家族の苦悩の理解や、ご家族の間での役割調整の支援、看取りの支援など、ご家族の喪失感に対する援助も必要であると話されており、ケアマネジャーは、利用者さんやご家族の方々の人生に寄り添い、利用者さんが達成できる具体的な目標を探し、やり残したことが達成できるように支援します。そのためには、先ず利用者さんやご家族と信頼関係を築き、その方々の思いを十分に汲み取りアセスメントを行い、関わるチーム全体でサービス計画を立案する。それにより、利用者自身が納得できる人生が送ることができ、ご家族も納得できるのだと思いました。さらに、ターミナルケアは在宅と病院との連携が大切であり、その中でケアマネジャーの医療的スキルが大切になってくると感じました。
「攻守ところ変われば皆人生の先輩なり」この言葉は、私が看護師として勤務し常に思い続けていた言葉で、援助する側、される側ではなく人生の先輩である方の人生と向き合える援助者でありたいと思ってきました。
 今回の研修で改めて、利用者さんを取り巻く背景を理解し全人的にとらえて支援していくことが大切であり、ケアマネジャーが地域連携の要であることを認識する機会となりました。
 (森本 和代)