地域ケアセンター 活動報告

「ユニットケアとはなにか?~ユニットケアで求めたこと、求めていること~」

老健・医療施設ユニットケア研究会代表であり、「ユニットケアの名付け親」である武田 和典先生(岡山県 きのこ老人保健施設 副施設長)に「ユニットケアとはなにか?~ユニットケアで求めたこと、求めていること~」とのテーマでお話をしていただきました。
 会場は鴻池荘で、近隣の施設や事業所の方を含め、約100名が参加されました。武田先生にとって御所市は、ユニットケアについて一緒に取組んでいた、元、万葉園施設長(故)小寺一隆氏の思い出の地で、この日、この地に導かれたことに驚き、不思議に思うというお話しからはじまり講義の中では、その小寺氏の言葉を大切に伝えておられました。
 ユニットケアは、施設の現場の職員が「これでいいのだろうか?」「なんとかしたい」との思いから生まれたもので『職員が決められたケアを、ただこなすのではなく、お年寄と「共に過す」「共に生活する」場所や時間が無いから出来ないのではなく、「どうしたら出来るだろう」と考える。強制ではなく自主的に行動を起こし、形になったものであり、その結果、職員一人ひとりが強くなった。』と話されていました。また、武田先生がユニットケアは形ではなく、一人ひとりに対して、その人らしい関わりを考えて実践するケアであり、「認知症の周辺症状は介護する側が作っていたのかもしれない」「ユニットケアはまず、「 ん゛っ? 」から始まると言っておられた言葉を重く受け止め、それは・・・これでいいのか?という気付きの「ん゛っ?」、どうすればいいのか?という課題の「ん゛っ?」、こうしたい!という目標(目的)の「ん゛っ?」であり、「そこから始まる・・」と言われた先生の言葉に、How To や方法論ではなく、ケアの考え方であるということを気付かせて頂きました。
 最後に、武田先生は「行くところがないお年寄は口を閉ざしてしまう。施設・職員でその方の生活がきまる」と話され、最後に入居されている人たちの言いたくても言えない切ない「入居者の思い」を紹介して頂きました「家に帰りたい」という思いを「死ぬ日が分かればいいのにね死ぬ日が分かれば、前の日くらいは、わがままを言ってもいいかな」という言葉に、寄り添うことの大切さ、聞こえていなかった「つぶやき」が伝わり、深く心に響きました。