鴻池会介護職員教育
はじめに
社会保障制度改革が進み、介護の役割が大きく変化し続けている中、私たちには利用者の満足と自立支援をささえる専門職としての質の高い技術・温かみのある心のこもった介護を実践することが求められています。鴻池会介護職には、奈良県下第1号として設立された「鴻池荘」での介護の役割を継承しながら、地域から求められるとの時々のニーズにこたえるための介護力レベルアップを図っていくことが求められています。介護職の教育課程は様々であり、就職後の教育システムの統一したものがないなかで介護を実践してきました。その一方介護職キャリア認定制度が設けられ、多くの指導者の育成がなされつつあります。そのような中で、鴻池会介護職員教育も、介護職のキャリア支援をささえ、介護職員として自己実現することを目的に教育システムの改善に取り組み、「鴻池会介護職員ラダー教育」を立案いたしました。多くの介護職員が自尊感情を高め、やりがいを感じ、生き生きと介護を実践できるように支援していきたいと考えています。
教育理念
① 介護を取り巻く環境の変化に柔軟に対応し、利用者のニーズに沿った質の高い介護サービスを提供する
② 介護専門職として、介護独自の機能を生かし社会に貢献できる介護士を育成する
- 豊かな感受性、専門職業人としての高い倫理観を持った介護実践が出来る
- ICFモデルにそって、利用者を捕らえ、ADL・IADLの向上をめざした質の高い介護サービスが提供できる
- 社会人基礎力を身に付け、主体的に学び、自己のキャリア開発が出来る
教育目的
教育理念に基づき、利用者の立場に立って、自立支援を目指し、「安全」「安心」「安楽」が提供できる介護士を育成する
- 倫理観を養い、人間性豊かな感性を育む
- 利用者のニーズに沿ったかつ専門職としての判断に沿った介護実践能力を育成する
- 組織の理念・看護部の理念に則り、専門職業人として時代の変化に即応するため、介護職員の主体的学習を支援し、質の高い介護サービスを提供できる人材を育成する
教育目標
- 利用者の人格を尊重し、公平でおもいやりのあるケアを提供できる
- 鴻池会職員として基本姿勢と態度を習得できる
- 専門職業人として利用者のニーズを捉え、ADL・IADLの向上をめざす介護サービスが提供できる
- 段階に応じた介護実践能力を習得できる
- 自己啓発に向けて積極的に行動できる
鴻池会介護教育システム
鴻池会介護教育システムは「鴻池会職員教育」及び「鴻池会介護職員教育」を基礎とし、介護職が生き生きと「介護」を実践できるように、ラダー教育を取り入れています。ラダー毎に到達目標が決められており、それに沿って教育計画が立案されています。
最終的にはなりたい介護職になることを目的に自主的に教育を受け、自己実現・自己自律を果たします。
介護職員認定制度へもトライし、認定介護士としてスペシャリストの道を達成する支援も行っています。
新入職員教育体制
進入職者には、採用初日より6日間にわたって、介護教育新人研修を実施しています。
介護倫理や生活援助技術の指導を通し、先輩介護職員とのコミュニケーションを図り、人間関係の構築を目指しています。
各担当配属部署では、リーダー・主任・係長に援助技術をはじめ、コミュニケーション技術等々のOJTを通じて指導する体制をとっています。
鴻池会介護職員教育ラダー到達目標
能力 | レベルⅠ | レベルⅡ | レベルⅢ | レベルⅣ | レベルⅤ | レベルⅥ |
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介護実践能力 | 基礎介護ケアを助言のもと実施できる | 基礎介護ケアを利用者の状況を判断し、あるいは多職種の指示に基づき実施できる | 介護ケア全般理解し、利用者の状況を踏まえ、多職種と共に計画し実施できる | 利用者の理解をし、介護計画を立案し介護過程を展開する | 利用者の理解をし、介護計画を立案し介護過程を展開するとともに基礎介護ケアについて他者指導できる | 管理的視点に立ち、介護ケア実践に責任を持って実施・評価を行う事ができる |
組織的役割遂行能力 | ・法人の理念・看護部の理念・目標部署の目標が理解できる ・メンバーとして報告連絡相談が出来る |
・メンバーシップを発揮し、組織を理解して報告連絡相談が出来る ・部署目標達成のために活動に参加できる |
・リーダーシップを理解し、部署内野役割を達成できる ・部署目標達成のために積極的に行動する |
・リーダーシップを発揮し、部署目標達成のために計画・実施・評価できる | ・リーダーシップを発揮し、部下指導を通し、部署目標達成のために行動する ・経営的視点を養う |
・管理的視点に立ち、部署目標達成のための支援をし、組織目標達成のために行動する ・経営参画できる |
倫理的意思決定能力 | 利用者理解を深め、立ち振る舞いができる | 利用者の尊厳を守るための行動ができる | 倫理的問題に気づき、改善策に取り組む事ができる | 助言を得て倫理的問題に対する意思決定ができる | 自らが倫理的問題解決の意思決定に参加し解決に向けた行動ができる | 部署内・組織内で起こっている倫理問題を引き出し改善策の実施をする |
社会人基礎力 | 社会人として必要な能力を知り、基本となるマナーを身に付ける | 社会人としての責任・協調性を認識し、基本となるマナーを身に付ける | 社会人としての責任を持ち健康を維持し、自立して行動できる | 社会人・組織人として、教養を身に付け、スタッフの模範となって行動できる | 院内はもとより、他施設や地域とのネットワークを広げ、活動する事ができる | 院内外にネットワークを持ち、共通目的達成に向けての活動が出来る |
自己教育力 | 介護にたずさわるものとして自らが学習する必要性を理解できる | 介護にたずさわるものとして必要な知識・技術を身に付けるために自ら進んで学習する | 介護職として自分の課題を知り、積極的に取り組む | 日常行われている介護実践の根拠を学び、介護の質向上を目指し学習する | 日常行われている介護実践の根拠を学び、学習し新しい取り組みが出来るように研究的意識をもって取り組む | 自己ノキャリアプランに沿って学習を推し進めていく |
介護のおしごと5つの魅力
「感謝の言葉を頂ける仕事」
介護をさせて頂いたあとに「ありがとう」 という感謝の言葉を頂けることがあります。気持ちのこもったこの一言を頂くと、やりがいを感じます
「感動に出会える仕事」
高齢や疾病で、思うように身体が動かなく なっても、日々の暮らしの中で目標や希望を持って、進む姿・その頑張りに感動します
「格好いい人生の先輩に出会える仕事」
高齢期を迎えた人生の先輩は、数々の経験を重ねています。そんな生き様を直接教えて頂き、尊敬とともに、自分が生きるヒントをもらえます
「家族にも寄り添える仕事」
介護が必要な方は、本人だけでなく、家族も悩んでいることがあります。家族の負担軽減を支援する事で、本人だけでなく家族も笑顔にする事ができ、役に立てたと感じます
「可能性のある仕事」
超高齢化社会を乗り越えるために、自らが、介護ロボットやICTなどの先進的な道具や考え方を活用して、新しい物を作り上げる事で、専門性も強化できます