地域ケアセンター 活動報告

「QOL向上に向けての取り組み~ICF(国際生活機能分類)に着目して~」

9月15日(水)鴻池荘訪問リハビリテーション 藤本理学療法士より「QOL向上に向けての取り組み~ICF(国際生活機能分類)に着目して~」と題して公開研修会を開催しました。看護・介護・リハビリ職等々、多数の参加がありました。
先ず、QOLとは一般に、生活の質のことである。つまり、ある人がどれだけ人間らしい生活を送り「幸福」を見出しているかを尺度として捉える概念である。「幸福」とは財産や仕事だけでなく住宅環境、心身の健康、教育、レクリエーション活動、レジャーなど様々な観点から計られるものであると説明されました。
次に、リハビリテーションについて、機能訓練・動作訓練のみを指すものではなく、目標を掲げ各専門職によるアプローチを展開して行う、この状態が「リハビリテーション」であるとのことでした。
そして、そのチームケアの展開の鍵となるのがケアプランであり、ICFを踏まえたプランの目標設定を共有できる専門的な視点が重要であると説明がありました。
ICFの基本概念の説明では、ICFに基づくアセスメントにより、「個人因子」が持つ価値観とそれを根拠とした目標を共有した事例をとおして、活動レベルでの段階的な支援により、主体的な参加レベルの目標設定にたどりついたプロセスを分かりやすく説明して頂きました。
目標達成へのプロセスとして、ご本人にとっての「QOL」「価値」を根拠とした支援が意味のある活動となり、また、その目標(参加)がご本人の生きる意味にも繋がるのではないかと言う事を感じ、専門職の間で情報を共有する上において、ICFという「共通言語」の重要性を強く感じました。
藤本からの話しの後、質疑応答では、会場から、8年間、ご主人の在宅介護をされ、身体状況は、よくならず、リハビリに対する向上心も無くなってきたというご主人の現状を悩まれていると話してくださった方が参加者の中にいらっしゃいました。
このことに関して、黒崎作業療法士が、8年間の介護への労いの言葉の後、「やりたい事を見つける。これはできる、ということを見つける。そういう体験をさせて上げて下さい。」と迷いなく回答されました。この黒崎の言葉に、ご主人の生きがい(QOL・価値感)を大切にした支援が重要であることを感じ、「そこから、また目標をみつけていきましょう。」という言葉から、目標設定を一緒に実現していくことの安心感を会場全体で受け止めた感じがしました。
みんなで、ご利用者を中心とした支援を考えることができた合同研修会となり、会場の一体感を感じました。