地域ケアセンター 活動報告

「防災について ~今、私たちができること~」

5月18日の公開研修会は、御所市総務課長の野尻氏と大淀町社会福祉協議会の中川氏より、この震災を通じて、「今、私たちが出来ること」についてお話しをしていただきました。
まず、野尻氏より、御所市として、東日本大震災の被災地に向けた、義援金・支援物資・人員派遣等の活動内容と、過去の災害からの教訓や防災対策についての説明がありました。
私たちの住む奈良県は、災害が少ないと思いがちですが、「山麓線付近には中央構造線断層帯があり、30年以内の大地震の発生率が最大14%。これは、阪神淡路大震災の発生率8%と比較すると、高い数字です。」という説明に驚きました。
そして、震災時の死者の約1割が家具の倒壊によりものであり、家具の位置に注意し、家具の移動が困難なら布団の場所を変えることも立派な防災対策である。また、大規模災害時では役所・消防・警察の対応能力は減少するため、自主防災活動が重要になると話されていました。
野尻さんのお話しを聞き、「今、“地域の住民として”私たちができること」、それは、それぞれの防災意識や積極的な自主防災活動、そして地域との助け合いや繋がりだということを、確かな出来ることとして、改めて気づかせて頂きました。
そして、後半は社会福祉協議会の職員として現地の災害ボランティアセンターで、活動された中川氏より、被災地の状況と実際の活動内容を伝えて頂きました。
先ず、現地で撮影された被災地のビデオを観ながら、ぬかるむ路面や磯と魚の腐敗した異臭など、映像では伝わらない被災状況を伝えて頂き、その環境下の中でのボランティアの方々の活動状況、また、津波でご主人や子供さんを亡くされたケアマネジャーが、夜遅くまで利用者さん宅を訪問されておられたという地域の支援活動の実際など、繊細になる状況説明を現実として強く伝えて下さいました。
最後に中川氏が、「丸4日程の滞在で、やっと状況が掴めた頃には帰らねばならず、“今私たちにできることは何か”と考えつつ、帰ってきてからも、被災地の様子は“トラウマ”となり、よく夢に現れ、ニュースを見ると涙が止まらない」と話されていました。
今回の研修は、“今、私たちにできること・・・”、また、それを自分に問いかける事の大切さをあらためて気づかせていただける研修会でした。
そして、中川氏が、僅か4日間で受けた心の反応 “トラウマ”。今回の震災は、被災者の心にも大きな傷を残しています。今、その心の傷が深くならないように「心のケア」が大切だと言われています。
次回の公開研修会では、この「心のケア」について、臨床心理士からお話しを聞かせて頂きます。