地域ケアセンター 活動報告

5月 江戸時代の御所まち~寛保2年の検地絵図を中心に~

5月の健康教室は、江戸時代の御所まちをテーマに南中町にお住まいの中井陽一氏にお話しして頂きました。
当日は、大勢の方の参加があり、身近な地域の歴史について感心が高いことが感じられました。中井さんは、御所で生まれ育ち、現在大学院で歴史について研究をされておられ、今回は、盛りだくさんのお話を、分かりやすく伝えて頂きました。
 はじめに、幕藩体制、石高制、鎖国制など学生時代を思い返す様な歴史の言葉から、江戸時代がどんな時代だったかを振り返り、次に今回のテーマにある「検地絵図」を基に、御所まちの歴史を解説していただきました。 
御所まちは碁盤の目に環濠が広がり、家の裏に水路が流れていることから、計画的に建設された町であることが分かるそうです。絵図には、道幅や背割下水、環濠、寺院の場所などが詳細に記されており、約400年経った現在も、ほぼ、そのまま残っている珍しい町だそうです。 その他にも、重要な幕府の法令が書かれてある高札が保存されていること、良質な粘土が出ることから手作りの瓦生産が盛んで、今もその瓦が使用されていること、また町名の由来や、江戸時代の人の洪水に対する考え方なども聞かせていただきました。
 中でも、印象的だったのは「おかげ参り」で御所の町に立ち寄る参拝者の方に、町の人全員で食事や宿泊場所を提供して“おもてなし”をしていたという記録が残っており、それは、少しの野菜やお米を寄付する人、お風呂を貸す人など、一人ひとりが出来る範囲で“おもてなし”をしていたというお話しでした。中井さんの説明を聞いていると、御所が歴史深い町であるということと、その歴史の中に御所まちの人の温かな心が受け継がれていることを感じました。
 質問コーナーでは、「古い町屋を保存するためのいい方法はないですか?」など、ふるさとの歴史を大切にしている気持ちが伝わる質問が上がりました。中井氏は、登録有形文化財の登録制度を利用する方法を考えおられ、中井さんのご自宅を現在申請中だそうです。
 身近な地域の知らなかった歴史に触れ、ふるさとを大切に思う健康教室でした。